Origami(Origami Agents)のサービス概要

Origami(正式名称「Origami Agents」)は、営業チーム向けのAI搭載リサーチエージェント(仮想営業アシスタント)を提供するスタートアップです。2024年に米国サンフランシスコで創業し、Y Combinatorの支援を受けて2025年初頭にSeedラウンドで200万ドルの資金調達を行いました。Origamiのエージェントはまるで人間の営業担当者のようにウェブ上の情報を分析し、企業にとって「完璧な見込み客(top 1% of your customers)」を毎日リストアップして届けてくれます。インターネット上には営業に役立つ膨大なデータが存在すると同社は考えており、その非構造化データを活用する独自AIソリューションによって、従来のアウトバウンド手法よりも10倍の成果を上げられるとされています。
Origamiが提供するAI機能の具体例

Origami Agentsのダッシュボード画面では、AIが企業のデジタル情報を分析して営業機会を特定する様子が確認できます。同プラットフォーム上では数千ものAIエージェントが24時間体制でウェブ上の様々な非構造化データを収集・解析します。具体的には、企業の公式サイトや製品ページ、プレスリリースの文章を自然言語処理(NLP)で読み取り、そこで語られる事業内容や動向を把握します。さらに、求人情報やソーシャルメディア上の投稿、従業員の動き(採用や離職)といったデジタルプレゼンスも解析し、その企業が現在直面している課題やニーズを推測します。加えて、製品レビューサイトの評価や業界ニュース等もクロールし、今まさに購入意向が高まっている見込み客を炙り出します。
こうしたマルチソースのデータをもとに、OrigamiのAIは各リード(見込み客)ごとに「なぜその企業が有望なのか」を人間さながらの言葉でレポートします。エージェントは「○○社の求人ページを調べたところ手作業の業務が多く、新しいシステム導入の記述がある」「△△社のニュースで3社の買収とレガシーシステム置換を発表」「◇◇社の従業員によるBlind(社員口コミサイト)投稿で現行システムへの不満が見られる」といった具合に、リードごとの購入意欲シグナルを解説してくれます。解析に使用したソース(求人情報が何件、データセキュリティへの言及が何件…など)も併せて提示されるため、営業担当者はそのリードに対し「どのタイミングで・なぜアプローチすべきか」を直感的に把握できます。
Origamiの営業プロセスにおける変革ポイント

Origami Agentsがもたらす最大の変革は、リード(見込み客)リサーチ工程の自動化・高度化です。従来、アウトバウンド営業ではターゲット企業を見つけるために営業担当者が数時間かけてウェブ検索やLinkedInでの情報収集を行い、手動でリストアップしていました。しかしOrigami導入後は、その単調なリサーチ業務をAIエージェントが肩代わりします。同社によれば、AIエージェントは営業担当者1人あたり1日最大3時間を要していたリサーチ作業を自動化できるとのことです。これにより営業チームは本来注力すべき顧客との対話やクロージングにより多くの時間を割けるようになります。
また、Origamiは「今アプローチすべき相手」をタイムリーに発見してくれるため、従来のように何百件ものリードに一斉メールを送り反応率の低さに悩むといった非効率な広範囲アプローチからの脱却が図れます。実際、Origamiの創業者は従来のコールドコールやメール乱発型のアウトバウンドではレスポンス率が年々低下していると指摘し、タイミングと文脈を捉えたアプローチの重要性を説いています。Origami Agentsはこの課題に応えるソリューションであり、営業チームは「必要な時に必要な提案」を行えるようになるため、結果的に顧客からの信頼も高まりやすくなります。さらに、無関係な相手に大量のスパムメールを送り関係性を損ねるリスクも減らせるといいます。
Origamiの導入事例とユーザーの声(B2B営業へのインパクト)

Origamiは不動産テック業界などを皮切りにB2B分野で成果を上げています。同社の初期ユーザーの一つである不動産メンテナンス向けマーケットプレイス企業「Stellar」では、Origami導入後わずか9ヶ月でクライアント基盤が8倍に拡大しました。Stellar社CEOのMatt Wetrich氏(Uber出身)は「Origamiから得られるリードの質は非常に高く、当社のアウトバウンドメールによる成約率(クローズ率)は業界平均の4倍に達している」と述べています。Wetrich氏はその効果を実感した結果、自ら天使投資家としてOrigamiに出資するまでになったそうです。
Stellar社のケースでは、本来Stellarの営業チームが手作業で探していた「当社サービスに適した規模の物件管理会社」をOrigamiが自動で洗い出し、適性の低い見込み客を除外するフィルタリングまで行ってくれるようになりました。同氏は「以前はひき肉からパティを成形するような作業だったのが、今では最初からステーキ肉が届くようなものだ」とユニークな比喩でOrigami導入効果を語っています(手間のかかる前処理なしに、そのまま使える上質なリードが手に入る、という意味)。このように、Origami Agentsは見込み客リストの質と量を劇的に向上させることで、ユーザー企業の成長に直接寄与しています。今後は不動産領域以外にも初期導入ユーザーを拡大しており、様々なB2B業界で同様の成果が報告される可能性があります。
Origamiと他の営業AIツールとの違い・差別化ポイント

AI営業支援ツールの分野には既にApolloやClari、Outreachなど複数のプロダクトがありますが、Origami Agentsは以下の点で差別化されています:
Apollo(Apollo.io)との比較
Apolloは数億件規模の企業・連絡先データベースとメール送信機能を兼ね備えた営業リード提供・エンゲージメントプラットフォームです。言い換えればApolloは主に網羅的なリスト提供とメール自動送信などの効率化に強みがあります。しかしデータソースは主にLinkedIn由来の構造化データで、タイムリーな購入シグナルまでは提供されません。これに対しOrigamiはウェブ上の最新情報(ニュース、投稿、サイト更新など)から購入意欲の高いリードを抽出するため、単なるリストより精度が高くスパム的アプローチを減らせます。Apolloが「誰に連絡するか」を広く提供するのに対し、Origamiは「なぜ今その相手に連絡すべきか」というコンテキストまで示す点が差別化ポイントです。
Clariとの比較
Clariは営業の収益予測やパイプライン管理に特化したプラットフォームで、商談の進捗データやCRM情報を解析し予測精度を高める「レベニューインテリジェンス」ツールです。そのため対象は既にパイプラインに入った商談や既存顧客データであり、新規リード開拓を目的としたものではありません。Origamiはパイプラインに入る前段階のリード発掘・育成にフォーカスしており、両者は営業プロセス上の異なるフェーズを支援します。したがってClariとは競合というより補完関係に近く、Origamiで見つけた有望リードを商談化した後の管理・予測にはClariを活用するといった使い分けも可能でしょう。
Outreachとの比較
Outreachは見込み客へのメールや電話・SNSアプローチを自動化し、営業プロセスを効率化する営業エンゲージメントプラットフォームです。営業担当者はOutreach上でシーケンス(テンプレート化した一連のフォローアップ)を設定し、大量のリードに対して効率よくアプローチできます。ただし、Outreach自体はリードの発見や意向シグナルの分析は行いません。Origamiで質の高いリードを見極め、Outreachに送り込んで効率的に接触する、といった組み合わせが考えられます。実際、Origami Agentsの画面上でもSalesforceやOutreachなど外部ツールとの連携オプションが示唆されており、Origamiは得られたリード情報を既存の営業フローに組み込みやすくなっています。加えて、近年登場した11xやArtisanといった競合はAIによる営業メール自動送信(いわば「AI営業担当の完全自動化」)を目指していますが、それに対しOrigamiの創業者は「そうした手法はスパム量産につながり顧客関係を傷つけかねない」と指摘しています。Origamiはあくまで人間の営業担当を強化するツールであり、自動化と人的アプローチのバランスに優れる点も差別化要因です。
Origamiの価格モデル・導入のしやすさ

現時点でOrigami Agentsの公式な価格プランは明示されていませんが、サービス性質上サブスクリプション(月額課金)モデルが想定されます。競合となる営業支援SaaS(例えばApolloやOutreach)はユーザー数や取得したリード件数に応じた段階的課金を採用しているため、Origamiも類似したモデル(利用席数あるいはエージェント稼働数に基づく料金体系)になる可能性が高いでしょう。また、スタートアップや中小企業でも導入しやすいよう、無料トライアルや初期費用ゼロで始められるプランが用意される可能性もあります。実際、Origamiは小規模チームから大企業までスケール可能なソリューションとして設計されており、事業フェーズに応じて柔軟に利用できることを謳っています。
導入のしやすさという点でも、Origamiはクラウドベースのサービスであり既存の営業フローへの統合が容易だと考えられます。ウェブアプリ上でターゲットとする業界やシグナルを設定するだけで、AIエージェントが自動的にリード情報を集め始めます。集まったリードはダッシュボードで確認できるほか、営業担当者のメール受信箱に直接送信されたり、SalesforceなどのCRMへエクスポートして活用することも可能です。このように、特別なシステム開発を要さず既存のツールと連携できるため、IT部門が小規模な企業でも負担なく使い始めることができます。さらに、Origami側で用意されたテンプレート(例えば「競合X社の顧客を探す」「直近資金調達したスタートアップを探す」等)を選択するだけでエージェントを走らせることもでき、設定の手間も最小限です。総じて、初期ハードルの低さと既存業務への組み込みやすさは、中小企業やスタートアップにとってOrigamiが魅力的なポイントとなるでしょう。
まとめ

AIを活用した営業支援ツール「Origami」は、これまで営業担当が費やしていたリサーチ時間を大幅に削減するだけでなく、より質の高いリード(見込み客)を選別・提示してくれる点が大きな魅力です。特に、ウェブ上の非構造化データから「なぜその相手に今アプローチすべきか」を具体的に教えてくれるため、営業チームは的確なタイミングでアクションを起こせるようになります。また、ClariやOutreachなど他の営業支援ツールと組み合わせることで、リード発掘から成約管理まで、一連の営業プロセスをより高度に最適化できるのも強みです。
一方で、Origamiは現時点では主に英語圏市場を対象としたサービスであり、日本向けの公式サポートやローカライズ情報は確認されていません。将来的に日本企業でも気軽に導入できるようになることが期待される反面、サービス利用には英語でのコミュニケーション・設定が必須となる点には注意が必要です。
この記事を通じて、AI営業支援ツール「Origami」の特徴・導入メリット・他ツールとの違いがご理解いただけたと思います。もし興味をお持ちいただけたら、まずは公式サイト(Origami Agents公式サイト)をチェックしてみてはいかがでしょうか。導入の可能性を検討しつつ、必要に応じて翻訳や海外向けサービス利用のサポートも視野に入れることで、グローバル最先端の営業手法をいち早く取り入れることができます。