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プロンプトエンジニアリングは「AI倫理」の第一歩。中小企業が“意図せぬ”AIの暴走を防ぐ方法

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AI倫理

「AIが勝手に嘘をついた」「差別的な表現をした」
ニュースでこのような事例を目にすると、自社への導入を躊躇してしまうのも無理はありません。

しかし、弊社がAI開発やコンサルティングを行う中で確信していることがあります。それは、「AIの暴走の多くは、人間側の『指示不足』が原因である」ということです。

従来のシステム開発(プログラム)は、「AならBをする」という厳格なルールで動いていました。しかし、生成AIは膨大なデータから「確率的に」言葉を紡ぎます。そこに明確な「禁止事項」や「倫理観」というガードレール(手すり)を設置してあげるのが、私たち人間の役割なのです。

1. 中小企業にとって「AI倫理」が経営課題である理由

「AI倫理」というと、GoogleやOpenAIのような巨大企業が考えるべき高尚なテーマだと思われがちです。しかし、中小企業こそ、この問題に敏感でなければなりません。

信用失墜のリスクは一瞬

もし、自社のカスタマーサポート用AIチャットボットが、お客様に対して不適切な回答をしたり、競合他社を不当に貶めるような発言をしたらどうなるでしょうか? SNSで拡散されれば、長年積み上げてきた「信用」は一瞬で崩れ去ります。

「知らない」では済まされない責任

システムが出した結果の責任は、最終的に「導入した企業」に帰属します。「AIが勝手にやったことだから」という言い訳は、社会では通用しません。

だからこそ、AIに「企業の品格」を教え込む技術が必要なのです。それが、今回解説する「倫理的なプロンプトエンジニアリング」です。

2. プロンプトエンジニアリング=AIへの「教育」と「しつけ」

プロンプトエンジニアリングとは、単に「上手な文章を作らせるコツ」ではありません。AIに対して「やってはいけないこと」を明確に伝え、安全な範囲で能力を発揮させるための制御技術です。

私はよく、AIを「能力はずば抜けているが、社会常識を知らない新入社員」に例えます。新入社員に仕事を任せるとき、皆さんはどうしますか?

  • 「お客様には丁寧語を使いなさい」
  • 「独断で値引きをしてはいけません」
  • 「分からないことは適当に答えず、確認しなさい」

と教えるはずです。AIへのプロンプトも全く同じです。

ガードレール(Guardrails)の設置

AI開発の現場では、AIが逸脱した回答をしないように制限をかけることを「ガードレールを設置する」と呼びます。これは、AI倫理を担保する上で最も実践的なアプローチです。

【ここがポイント】 優れたAI活用とは、アクセルを全開にすることではなく、性能の良いブレーキ(制御)を備えることから始まります。

3. 【実践編】“意図せぬ暴走”を防ぐプロンプトの具体例

では、具体的にどのようなプロンプト(指示)を書けば、AIの倫理リスクを低減できるのでしょうか。基本的な「型」をご紹介します。

① 「役割」と「禁止事項」をセットにする

曖昧な指示は事故のもとです。ポジティブな指示(~して)だけでなく、ネガティブな指示(~しないで)を明確に記述します。

【悪いプロンプト例】

お客様からのクレームメールに返信を書いて。

【良いプロンプト例(ガードレール付き)】

あなたはプロフェッショナルなカスタマーサポート担当者です。以下の制約事項を厳守し、お客様への返信案を作成してください。

【制約事項(ガードレール)】

  • 感情的にならない: 常に冷静で、共感的なトーンを維持すること。
  • 断定を避ける: 確証のない事実については「確認いたします」とし、断定しないこと。
  • 差別的・攻撃的表現の禁止: 人種、性別、信条に関わる偏った表現は絶対に使用しないこと。
  • 架空の解決策を提示しない: 弊社のマニュアルにないサービスや値引きを勝手に提案しないこと。

このように「制約事項」として倫理的なルールを明文化するだけで、AIの回答品質と安全性は劇的に向上します。

② 「分からない」と言える勇気を持たせる

生成AIの最大のリスクの一つが「ハルシネーション(もっともらしい嘘)」です。これを防ぐには、以下のような一文を加えます。

【追加すべき指示】 提供された情報の中に答えが見つからない場合は、無理に回答を作成せず、「申し訳ありませんが、その情報については持ち合わせておりません」と正直に回答してください。

これにより、AIが知識を捏造して回答するリスクを大幅に減らすことができます。

③ 出力前に「自己チェック」をさせる

これは少し高度なテクニックですが、非常に効果的です。AIに回答を出力させる前に、一度AI自身に内容を精査させます。

【自己チェック用のプロンプト】 回答を作成した後、その内容が「公平性」を欠いていないか、「誤解を招く表現」がないかを確認し、問題があれば修正した上で最終的な出力を提示してください。

人間が推敲するように、AIにも推敲のプロセスを踏ませるのです。

4. データ管理とAI倫理:ManPlusの視点

弊社はデータの取り扱いやシステム設計の厳格さに重きを置いてきました。AI活用においても、それは変わりません。

当社の開発事例:安心できるAIアシスタント

以前、あるクライアント様向けに社内ドキュメント検索システムを開発した際、「誰がどの情報にアクセスできるか」という権限管理とセットでAIを実装しました。 「AIが何でも答えてくれる」ことは便利ですが、「答えてはいけない人には答えない」という制御こそが、プロとしてのシステム設計だと考えています。

5. 経営者が今すぐ始めるべきアクション

AI倫理を守りながら、業務効率化を進めるために、明日からできることをまとめます。

  • AI利用ガイドラインの策定
    • 社員がChatGPTなどを利用する際の「入力してはいけない情報」「生成物の確認義務」をルール化しましょう。
  • 「ガードレール」プロンプトのテンプレート化
    • 個人のスキルに依存させず、会社として「安全なプロンプトの型」を用意し、共有しましょう。
  • 専門家の知見を借りる
    • 技術は日進月歩です。リスク管理と最新技術の両方を理解しているパートナーを見つけることが近道です。

まとめ:誠実なAI活用が、企業の信頼を作る

今回の記事のポイントをまとめます。

  • AI倫理は経営課題: 中小企業こそ、信用を守るためにAIのリスク管理が必要。
  • プロンプト=制御: 適切なプロンプト(指示)は、AIの暴走を防ぐ「ガードレール」となる。
  • 具体性が命: 「差別禁止」「嘘をつかない」など、禁止事項を明文化して指示する。
  • データの整理: 安全なAI活用は、整理整頓されたきれいなデータ環境から生まれる。

AIは「魔法の杖」ではありませんが、正しく使いこなせば、これほど強力なパートナーはいません。 弊社は、システム開発の長年の経験から、「技術は人の幸せと、豊かな時間を作るためにある」と信じています。

AIの暴走を恐れて導入を諦めるのではなく、「正しく制御する術」を身につけて、ビジネスを加速させませんか?


AI活用のリスク管理から開発までご相談ください

有限会社ManPlusでは、「AIを使って業務を効率化したいが、リスクが心配」「社内データを安全に活用するアプリを作りたい」といった経営者様からのご相談を承っております。

  • AIアプリ開発: 貴社専用の「ガードレール付き」安全なAIツールの構築
  • AIコンサルティング: 社内ガイドラインの策定や、効果的かつ倫理的なプロンプト作成の研修
  • 業務整理サポート: AI導入の前段階となる、社内データや業務フローの「断捨離・整理」のご提案

「まずは何から始めればいいか分からない」という段階でも構いません。 貴社の課題に寄り添い、技術的な専門用語を使わずに分かりやすくご提案させていただきます。

信頼できるAIパートナーをお探しの方は、ぜひお気軽に有限会社ManPlusまでお問い合わせください。

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